誌上劇団!ポップノベル

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小説「流行ピエロ」

【小説/第一幕】

文/ポップ闘志

「流行ピエロ」

ピエロが流行ってどれくらいの月日が過ぎて行ったんだろうか?白塗りで赤いメイクをして鼻の上にもう一つデカい鼻をつけてメイクは完了するのかな。と、思いつつ、
男の趣味はピエロメイクで外へ出たりすることである。ピエロメイクでマンションの踊り場で踊ったり、野球中継のカメラとか
に映ろうとしたのは良いが、ラジオの野球中継だったりして、アートな方向では無いのだった。アートを捨てたのだった。

アートを捨てて、まだ納得いかず、アートを再利用した。道化師の気分を牛肉を噛むみたく味わっていたかった。そして一番の悩みは仕事のことだった。ピエロのメイクを一日中しておきたいのだが、仕事がある
日雇いでも良いからという理由で仕事を辞めようとしていた。ずっと道化師。ピエロのメイクを、そして、ピエロと同じ意味の
道化師として、それを仕事にするために、現時点の仕事を辞めた。

趣味が仕事に変わる日。その日に偶然の出来事があった。新聞を読みながら朝飯を食べているところだった。ブハッ!と朝飯を吹いてしまった。新聞には「丑三つ時に、
ピエロ(道化師)になりませんか?」
という記事。紙面を切り取ってニヤリ!として「大会を壊して、俺が一番のピエロになってやるぜ!」と少年向けバトルマンガみたいなことを一瞬、思ったが、それらの思考を一切停止して別のことを考えた。

【小説/第二幕】

「ピエロ」という言葉は今年の流行語大賞を受賞した。「道化師」という言葉も一緒に受賞した。流行語大賞の祝賀会には普段会う人とは別の角度の人だらけだった。
鼻水やクシャミに悩んでいる人たちを治す
治療剤を発明して製薬会社の社長になった
グリズリーみたくデカい社長だった。鼻もデカくてピエロの本質を見出してるのかも
知れない。会話するのは辞めて周囲を見て見る。「ピエロ」と描かれているグラスに
シャンパンが注がれている。野球中継でも見たことのある人たちも居たり、ステージの上でダンスを踊る女とか色々いる。どれも超一流の人だらけで主人公の男だけが浮いていた。まるで無重力の世界に来ているみたいに。とりあえず、焼き鳥を頼んだ。
そして、数秒後に運ばれて来たのは焼き鳥だった。タレにつけても塩につけても良いというゴッド選択肢。さすが祝賀会。と、
思ったら新聞社の人たちが現れて、取材を求めて来た。いろいろ、ピエロと道化師のことを話したり、ピエロのメイクについて
話した。それから祝賀会が終わって帰路についた。「ピエロで、道化師で良かった」と思いながらの帰り道。家に着くとピエロメイクと、道化師メイクを落として本当の顔をさらけ出した。「ウォッチング!」と思わず叫んでしまった。(終)