誌上劇団!ポップノベル

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小説「太刀魚」

【小説/第一幕】

文/ポップ闘志

「太刀魚」

監督「はい、よ〜い!始め!」

というなり、バイオレンス時代劇で
鍛えてきた長年のキャリアを誇る、
ベテラン監督の怒号が響き渡った。
周囲のスタッフもビデオの停止ボタン
を押してしまい、結局、エヴァの新作の
自家製のスクリーンが真っ暗になる程の
衝撃だったらしい。

監督「まだ、レプリカの刀を持ってきてないのか?撮影に必須なんだよ!撮影に!」

そして、スタッフは色々なものを持ち込んできたりして賑やかになった。それを羅列してみる。

うまい棒、五円チョコ、糸引きアメ、
ヨーグルト菓子、コーラのアメとか、
様々な駄菓子を持ってきた。しかし、

監督「こんなもの!粉砕だ!」

と言って駄菓子を順番に粉砕して行く。

監督「逆方向から粉砕するか!コーラのアメ、ヨーグルト菓子、糸引きアメ、五円チョコ、うまい棒〜!粉砕完了!あ!でも、
うまい棒はギリギリOKで、あまり粉砕が
されて無かった。まあ、いいか!」

と言いながら昼食の時間になった。

アシスタントディレクターとディレクター
は恐れ戦いていた。この二人は監督に恩があるから、過去の恩があるから文句も言えないし地位もない。そんな時に監督の声が聞こえてきた。

監督「いや〜、食った食った。美味かったなあ。安いっていいね。安いって!」

アシスタントディレクターとディレクターが察するに先程の駄菓子を食べて腹が満たされたのだろう、という解釈が。監督の口には、うまい棒の粉がついていた。監督は
ひげを剃る時に気づくだろう。あ!でも、
今、気づいた!「あれ〜!?」という言葉にピッタリな状況だった。

そして撮影は再び、アンコールされる。

監督「太刀魚を持って来い!太刀魚を!俺は本来、魚屋になる男だったからな!」

アシスタントディレクター「用意してくる
と言っても、黒澤明じゃないんですから。
すぐには無理です。」

監督「じゃあテメェはクビだ!クビ!お前みたいな奴なんて映画のスタッフのタマゴにいくらでもいるんだからな!」

アシスタントディレクター「すいません!許してください!何でも雑務をしますから
どうか許してください!」

監督「わかった。じゃあ、太刀魚を持って来い!新鮮な太刀魚をな!行け!早く!」

するとディレクターが急に現れた。

ディレクター「いやあ、さっきそこで魚をね!魚を貰ったんだよ!スターに!時代劇の自称スターに、さあ!お前、どこ行く?どこ行くの?」

アシスタントディレクター「それだ!」

ディレクター「何?」

監督「おう!太刀魚が見つかったか!映画の撮影続行!」

スタッフも、休んでいた脇役たちも喜んで撮影の続行が決定した。そして今回の主役が現れた。時代劇のスターである。そんなスターの登場を待ちに待ったと撮影現場に
ファンの人々も集まってきた。

監督「じゃあ!今回は時代劇のスターが
太刀魚で腹を切られるシーンから撮影!」

案の定、行われた、太刀魚のシーン。
時代劇スターが太刀魚を持った敵と
バトルするシーンなのだが、撮影に
入る時はそんなにグロテスクでも、
無いのだが、編集の段階で編集してたら
かなり、ヤバい作品になっていた。

しかし、監督は更に怒号を飛ばす。

監督「もっと!もっと!リアクション!リアクション芸人並みに!アツアツの熱湯に入るとか、半年前に常温で置いた生肉を食べて腹を壊すとか、チョコエッグの模型だけ食べるとか、そんなリアクションを期待してんだよ!分かるか?分かってる?」

しかし、それを無視している男が居る。
途中まで聞いていた男が居る、それは、
時代劇スターだった。さすが!スター!

【小説/第二幕】

生臭い臭いがユニクロで買った、絶版済みの安売りフリースにも残るくらいだ。
魚と血と汗と涙たちが全て合わさってから
フリースに生臭い臭いが染み付いたのだと
解釈する。メイクさんがスターのところに
向かっている時、メイクさんがスターのメイク落としを走っている時に落としたのだ
とは済まされない。しかし…!

メイクさん「すみません。メイク道具とか
落としてしまって。ドリフのタライが落ちてきても覚悟の上です。許してください」

頭上からは大量の太刀魚が落ちてきて更にドリフのタライと生肉が落ちてきた。

監督「お前がミスするからだろ!だったら
ミスを減らせ!メイクさんなのに!ブス!黙って仕事してろ!俺が手伝いの連中を連れてくるから。メイクを落としてやれ!」

メイクさんは時代劇スターの楽屋を訪れて
メイクを落としていた。化粧も落として、気がつくと数時間が経過していた。スターは寡黙でモアイの石像のような寡黙さ。
何時間でも無視し続けたら、数年は無視が
続くだろう。

【筆者/エッセイ】

どうも。筆者はダジャレが好きでは無い。
特に嫌な時期だったのが、ねずっち?が
現れた時だ。なぞかけ、を聞く時、耳を
封印する日もあった。そして、今回の
物語にはダジャレは出てきません。
メイク、ドリフのタライ、メイク道具やらが落ちてきたのは落下することを意識しているわけですからダジャレではない。生肉の箇所は全然、意味無く書きました。特に
ダジャレではないと確信できます。あっ!
小説に戻ります!

【小説/第三幕】

時代劇スターをメイクさんが生臭さと魚の臭いを取り除くためにタオルを出そうと、
する。が、しかし、タオルが無い!タオルも無くて、メイク道具も落とす、何というダメっぷりのメイクさん。慌ててタオルを貰いに行ったのだが、タオルを持って部屋に入ってきたメイクさんが目撃したのは、
時代劇スターは一人でスーパー銭湯っぽく
タオルじゃなくてスポーツ新聞で拭いてたのにメイクさんも後から駆けつけたスタイリストさん、時代考証の専門家さん、と、
裏方が大集合。「腹にガムテープを貼ってくれ」と時代劇スターは言うので仕方なく
ガムテープを腹に巻いていく。グルグル!
グルグル!グルグル!グルグル!と何回も巻いたところで「キツい」と時代劇スターは言う。緩めて丁度良いくらいの巻き具合で落ち着いたのか、楽屋で熟睡している姿を見た人々は多いのだと言う。そんな映画の公開日、太刀魚も何も出てこない。何と腹の立つ映画だ!と言っても公開日過ぎてるからね。全シーンカットされていた。
興行収入も悪いんだろうな、でも、新しい俳優の演技と時代劇スターの演技は歴然の差がある。北海道から沖縄くらいまでの。
メイクさんは、あの後、若年性のガンが、
見つかって自宅で長期療養。時代劇スターは、メスで切らなければならないストレスがなさすぎる人がなる「おっとりガン」になった。それらの原因はメイクさんと時代劇スターは食べ放題の店に毎日、朝昼晩、
仲良くなったのは良いが食べに行って焦げまでも食すことをしたり、していたから。
焦げを容器にいれてシャカシャカ振って、
楽器みたいなものを作るらしい。誰も喜ばない。その後、時代劇スターは治療して、
治ったが、メイクさんは死去した。
監督は葬式で一言「まだ生臭いな」(終)